私たちの最も重要な社会的責任は、社会的ニーズに対して新しい製品・サービスを提供し、社会課題の解決・持続可能な社会に貢献するとともに、経済的価値を創造することだと考えています。市場では、新しい技術が発達するとともに、競争スピードが加速し、先行者が市場を独占する世の中になっています。こうした状況の中、私たちは、アルミニウムをベースにしながらもアルミニウムにこだわらず、新しい発想で明るい未来と価値創造に全速力で挑戦していきます。
すでに顕在化している社会課題や潜在的な課題、市場の環境変化に対応するため、東洋アルミグループの持つコア技術をベースに、先端技術本部および新事業創造部を中心として研究開発および事業化を推進しています。対象を「既存市場」「新市場」「次世代市場」の3つの市場に分類し、それぞれにリソースを投入して研究開発に取り組んでいます。自社だけでは解決が難しい場合は、国内外を問わず、ベンチャー企業や大学、研究機関などのパートナーとアライアンスを結ぶオープンイノベーションを積極的に推進しています。
私たちは、「共有価値の創造(CSV)」の観点を取り入れ、ステークホルダーとのコミュニケーションを深め、東洋アルミグループと社会との共有価値の創造を実現できる開発を行います。また、アルミをベースにしながらもアルミにこだわらず新しい発想で世界をリードしていくことを目指します。
東洋アルミニウム(株)は2018年10月、アルミ板連続鋳造設備を蒲原製造所に導入しました。連続鋳造は従来の鋳造方法と比較して製造効率が向上するだけでなく、高強度化、ピンホール(穴)低減、伸び率向上による成型不良減少などが期待できます。また、当社が導入した連続鋳造設備は製造条件を詳細に設定することができ、お客さま個々のニーズに合わせた製品開発が可能となります。今後も、従来の箔のイメージを変えるような機能性製品を開発することで、アルミの新たな可能性を追求し、人々の暮らしを支えていきます。
蒲原製造所に導入した「アルミ板連続鋳造設備」
従来、自動車塗装などに使用するメタリック顔料は、VOC*を多く含む溶剤型塗料にしか適合しませんでした。東洋アルミニウム(株)の表面処理技術により、各種水性塗料に適合させることで、塗料中のVOC含有量を約80%削減することが可能となりました※1。
また、自動車部品などを製造する金属3Dプリンター用アルミ合金パウダーを開発・製造しています。当社の高強度アルミ合金粉(Scalmalloy®※2)を使用して3Dプリンター用に最適な設計とすることで、部品重量を80%以上削減し、最終製品である自動車の燃費向上に貢献できることが報告されています※3。
各産業分野とのパートナーシップを深め、ステークホルダーとともに、新しい技術基盤を広げることで、より一層の環境負荷低減に貢献していきます。
* VOC:揮発性有機化合物。光化学スモッグの原因になるため、各国で規制対象になっている。
※1 小野山 塗装技術 2006年10月増刊 43(2006)
※2 Scalmalloy®はAPWORK社の登録商標です。
※3 Jon Meyer , Metal additive Manufacturing, Spring 2019 Vol.5 No.1
東洋アルミニウム(株)は、2018年度に超軽量太陽電池パネル「Hane® Module」(以後、本パネル)の本格的な製造・販売を開始しました。本パネルは、一般的な太陽電池パネルの半分の重量(6kg/㎡)であり、今まで耐荷重の問題で設置を諦めていた屋根へも設置が可能となりました。また、本パネルの特性を活用し、2本足の省スペースでも設置可能な太陽電池スタンド「エネスタンド®※4」の製造・販売も開始しました。駐車場、駐輪場、守衛室前や歩道の雨避けなど、さまざまな場所におけるエネスタンド®の活用が見込まれます。自社技術を活かし、再生可能エネルギーを身近に感じる社会の実現を目指します。
※4 エネスタンド®はスカイジャパン社の登録商標です。
超軽量太陽電池パネル「Hane® Module」を搭載した
省スペースな太陽電池スタンド「エネスタンド®」