研究・技術情報
Research &
Technology
公開日:2013年12月
極薄アルミニウム顔料(Moonlight Silver®)
はじめに
プラスチック塗料・印刷用インキ等での高意匠性に対する要望に対し、高光輝性、多色性、干渉性などを有する光輝顔料が、種々上市されている。
多様な需要の中で、メッキ調の色調も市場から要望される重要な意匠のひとつである。
メッキ調アルミニウム顔料について
アルミニウム顔料でメッキ調を得るためには、光の乱反射成分を減少させる事が必要である。
そのために、アルミニウム顔料粒子表面を非常に滑らかにし、かつ塗膜中でアルミニウム顔料粒子を凹凸無く配列させる必要がある。しかし、既存製品では粒子厚みが 0.3 ミクロンもあるため、配列を改善しても粒子間の段差を無くす事ができず、メッキ調を得ることができなかった。
メッキ調の意匠が得られる顔料として、蒸着アルミニウム顔料(Metasheen™)がある。
この顔料は表面が非常に平滑で、厚みが 300Å程度と非常に薄い。しかし、蒸着アルミニウム顔料は、蒸着フィルムからアルミニウム膜を剥離・粉砕して製造するため、生産効率が低く、高価である。

Moonlight Silver®について
当社では、蒸着アルミニウム顔料に匹敵する極薄アルミニウム顔料を、通常の粉砕による製法により低コストで製造することを検討した。
「Moonlight Silver®」は、「湖面に写る月明かりの様に滑らかで輝きのあるシルバー」を開発コンセプトとし、アルミニウム粒子を極限まで薄く、平滑に加工する事を目的として開発した。
この目的を達成するため、当社の最新粉砕技術を駆使し、原料アルミニウム粉を、表面凹凸が無く、またちぎれが無い様に、丁寧に薄く延ばす工夫を行った。

Moonlight Silver®(MS650)では、粒子厚みを既存アルミニウム顔料(6360NS)の約 1/8 に調整している。
Moonlight Silver® の特徴
図 1 に、Moonlight Silver®と既存品の、多角度分光測色システム(村上色彩研究所:GCMS)による色調比較結果を示す。(この時の塗膜は、出来るだけ高配合で薄く塗装する事により、メッキ調塗膜に仕上げた。)
Moonlight Silver®が既存品(6390NS)に比べ正反射部分(受光角度 45°付近)で高い明度値(L 値)を示していることがわかる。

(多角度分光測色システム GCMS による)
各塗板の粒子配列状態をレーザー顕微鏡で観察すると、既存品(6390NS)に比べ MS-650 は、塗膜中での粒子配列の平滑性が優れている(図2)。
この違いを面粗さの指標である SPa 値(断面曲面の標高の絶対値の平均)で表すと以下のようになる。
6390NS:SPa=0.462
MS-650:Spa=0.268
以上の結果をまとめると、Moonlight Silver®では、塗膜中での粒子の配列が平滑で、乱反射が少なく、正反射成分が多くなっている。
これをモデル図で示すと図3のようになる。

(レーザー顕微鏡観察)

おわりに
アルミニウム顔料としては多くの品種がラインアップされているが、Moonlight Silver®はその中でも物理的形状及び色調に関してユニークな品種である。
しかし、実際のメッキ膜に比べるとまだ金属光沢が十分とは言えず、更なる品質改善が将来の技術課題となっている。
今回の開発において得られた種々の生産技術と既存技術の組み合わせで、新しい色調と性能を有する品種を開発し、市場のニーズに対応していきたいと考えている。
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