研究・技術情報
Research &
Technology
公開日:2018年4月
超撥水・撥油フィルムケース
はじめに
当社では超撥水性を有する包装材料である「TOYAL LOTUS ®」、 超撥油性を有する包装材料である「TOYAL・ULTRALOTUS ®」の 研究、 用途開発を手掛けてきたが、これまではフィルム等、平面形状での製品しか得られていなかった 。
そこで本報では「TOYAL LOTUS ®」、「TOYAL・ULTRALOTUS ®」の技術を用いた包装材料として初の立体成型物であるフィルムケースを開発したので、その撥水・撥油性及び用途展開に関して紹介する 。
撥水・撥油包装材料 概要
蓮の葉の表面は微細な凹凸構造を有しており、水滴とこの凹凸間に空気層が形成されることにより超撥水性を発揮する(図 1)。
「TOYAL LOTUS ®」は蓮の葉の表面構造と同様の構造(フラクタル構造)を当社独自の表面処理技術を用い 、フィルム表面上へ処理を施すことで、水との接触角が150°以上の超撥水性を実現している。 この超撥水技術はヨーグルトの蓋材をはじめとし食品、医薬品、工業分野など様々な分野で用途展開を進めている。 「TOYAL・ULTRALOTUS ®」は上記の超撥水技術から学んだ物理的な表面構造に加え、材料自体に化学的改良を施すことで油との接触角が150°以上の超撥油性を実現している。 この技術はケーキのサイドカバー に採用され、クリームが付着し難い包装材料として商品化されている 。

超撥水・撥油フィルムケース
本開発品は基材に厚み50μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート を用いた。 その表面上に撥水・撥油処理を施し たフィルムを得た後 、 このフィルムに成型加工を施すことで立体的なフィルムケースを 製造した 。フィルムケースの成型に必要な条件としては雄型、雌型の金型温度、成型時間、成型圧力が挙げられる。 撥水・撥油効果は表面の凹凸構造が重要であり、成型工程を施した後においても、表面構造を破壊することなく、 撥水・撥油性を維持した成型条件を見出すことが開発のポイントである(図2) 。
本技術により、 その他の基材厚み:25~75μm 、材質:ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等)を使用し、 様々な形状のフィルムケースを製造することが可能となる。

採用事例
本開発品は株式会社ダンテより販売されている精液成分の検査キット「BUDDY CHECK™ (バディチェック)」に採用されている(図3)。
「BUDDY CHECK™」は 、精液の液体部分である “精しょう”が精子の運動,受精能力に大きく影響することに着目し開発した世界初となる精液成分の郵送検査キットである。 健康診断や病院、不妊治療など通常の精液検査は精液中の「精子」を主に診ており、精子の数や運動性を分析する検査であるが、ダンテは精液中の 「精しょう」を診ることで精子の持久力などパフォーマンスに影響を与える成分に着目している。 この「精しょう」を検査するためには一定量の精液が必要となる。 しかし、精液は粘性が高くカップから回収することが難しかった。 図4の左下を参照し、この検査キット内に同封されている精液採取カップが本報で紹介した折畳まれた状態の超撥水・撥油フィルムケース(「 ComeCum™Cup」( カムカム ™カップ )である。
「カムカム™カップ」は、その高い撥水性能に、その高い撥水性能により、粘性の高い精液であっても、スポイトなどを使わず採取した精液のほぼ全量を検体輸送用チューブに入れることが可能となった。


おわりに
今後は、より厚い基厚い基材への加工、成型の技術を確立し 、フィルムケース以外のトレー、容器等への展開を検討している。 食品、医薬品、工業分野と幅広い分野へ用途展開を図っていく予定である。
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