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公開日:2020年4月

耐孔食アルミニウム箔 ALSALT®(アルソルト®)

耐孔食アルミニウム箔 ALSALT®(アルソルト®)

はじめに

アルミニウムは表面が薄い不動態皮膜で覆われているため、大気環境において優れた耐食性を示す。 しかし、ハロゲンイオンが存在する場合に不動態皮膜が破壊され、孔食と呼ばれる局部腐食が発生することが知られている。
私たちの身の回りにも表1に示すように、食塩や塩素系消毒液など、特に塩化物イオンが存在する環境がある。

表1 身近に存在する塩化物イオン

このような環境におけるアルミニウム箔の耐食性を向上することで、これまで提案が困難であった用途への展開が期待でき、環境負荷低減や軽量化に貢献できる。
アルミニウムの孔食は、アルミニウム母相を陽極、金属間化合物を陰極として電気が流れることにより進行する。 これは母相と金属間化合物の電位差によるものであるが、これを小さくすることで塩化物イオンの存在する中性環境下での孔食抑制に成功したアルミニウム箔がアルソルトである。

アルソルトの特徴

1.耐孔食性

〔塩水での評価〕
アルソルトを含む各種金属箔の耐塩水性を、塩水噴霧→乾燥→湿潤を繰り返すサイクル試験で評価した結果を図1に示す。 アルソルトは一般アルミニウム箔1N30材や銅箔、ステンレス箔と比較しても外観変色が軽微で、孔の発生が少なく、そのサイズも極めて小さい。 また、7倍近くの厚みがある1N30材と比較しても貫通孔のサイズは同等以下である。 この結果から、アルソルトは孔食の発生だけでなく、孔食の広がりも抑制されていることが分かる。
この孔食の広がり抑制効果は、コートやフィルム積層による保護層を有した構成体の端面からの腐食にも効果がある。 例えば、図2に示す両面樹脂コート品の塩水浸漬試験では、スリット面近傍の腐食溶解がアルソルトのみ大幅に抑制できている。

図1 中性塩水噴霧サイクル試験(JIS H 8502-8-1)200サイクル後の外観
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図2 両面コート品の食塩水浸漬後の外観
(35℃・3%食塩・pH3水溶液・80時間浸漬)

〔次亜塩素酸ナトリウム水溶液での評価〕
塩素系消毒液としても使われている次亜塩素酸ナトリウム水溶液への浸漬試験後の外観を図3に示す。 他のアルミニウム箔に比べ、アルソルトは表面変色が軽微で、端部も腐食溶解による消失は無く残存していることが確認できる。

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図3 次亜塩素酸ナトリウム水溶液浸漬後の外観
(30℃・200ppm・500時間浸漬)

2.機械特性

アルソルトの機械特性を表2に示す。 一般アルミニウム箔1N30材と比較して硬質は強度・伸びともに同等で、軟質は1N30材と同等の伸びを有しながらも高強度の特性を有している。

表2 アルソルトの機械特性

今後の展望

アルソルトは塩化物イオンが存在する中性環境において優れた耐孔食性を有している。 よって、これまでアルミニウム箔に施していた保護層の省略等による環境負荷低減や、耐孔食性付与を目的として設計されていたアルミニウム箔の薄箔化、異種金属箔からの置き換えによる軽量化が期待できる。
今後、塩分と接触する食品包材や医療分野、塩素系消毒液に触れる衛生分野、塩害等に晒される建築建材分野などの用途に展開してゆきたい。

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