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公開日:2021年4月
導電性接着剤【TCBシリーズ】
はじめに
パソコン、携帯電話などの子機器に使用される子部品の接合には、一般にはんだ接合が用いられている。 しかながらはんだには、金属・セラミック等の高耐熱性を有する基板への接合は可能であが、有機フィルム、紙などの中~低温耐熱性を有する基板への接合は難しい。 一方、電子部品の接法方法として導電性接着剤を用いる方法もある。
これは有機物を主体とするバインダー成分に銀を分散させたものであり、その接着メカニズムや導電機構は有物物の硬化により被接着物との接合力を維持しつつ、含有されている金属粒子により電気伝導性を確保している。 硬化温度ははんだとは異なり、比較的低温で硬化が可能であることから、上述した中~低温耐熱性を有する基板への接合を可能にしている。 しかし、導電性接着剤に使用される銀は非常に高価な金属で、耐マイグレーション性に劣るという欠点があり、その代替材料の提案が望まれている。
一方被接着側には銅箔あるいは銅箔に金フラッシュめっきをされたもの、あるいは銀ペースト等の印刷で形成されたものが用いられるが、これらの金属の使用も最終製品の高コスト化につながる。 本報告では、 導電性接着剤のコストダウンとして銀被覆シリカ粉末【TFMTFM-S02P】を用いた接着剤【TCBシリーズ】について接着剤単体の電気的特性等を評価した結果について報告する。 また、被接着側にアルミニウムを用いた際の電気的および機械特性について報告する。
導電性接着剤 TCB シリーズ
導電性接着剤【TCB シリーズ】の作製には、導電粉末として 図1 で示す東洋アルミニウム株式会社製 2μ m銀被覆シリカ粉末(商品名: TFMTFM-S02P )を使用した。 セラミック粉末を使用することで、銀粉末に比べ、銀量が少なく、比重が約 1/3 となり、大幅なコストダ ウンが期待される。 この粉末を所定量のエポキシ樹脂に混錬、分散し硬化剤を加えたものを導電性接着剤とした。 なお硬化条件は 150 ℃/ 30 分である。

比抵抗値測定結果
作製した導電性接着剤の比抵抗値測定結果を図2に示す。 比較として、銀粉末を使用した他社製導電性接着剤の結果を示す。 【TCB シリーズ】の比抵抗値は、銀粉末を用いた市販の導電性接着剤比抵抗値と同程度の値であったことより、銀被覆シリカ粉末【TFM-S02P】を用いた【TCB シリーズ】 は十分な導電性を得られることが示唆されるとともに、高価な銀粉末を使用した導電性接着剤の代替として使用できる可能性が考えられる。

引張強度測定結果
被接着側であるアルミニウムとの引張強度測定には、JIS K 6850の試験方法に準拠し、導電性接着剤を用いて アルミニウム板を重ね合わしたサンプルについて評価した。 評価結果を図3に示す。図3の結果より、【TCB シリーズ】の引張強度は、銀粉末を用いた市販導電性接着剤の引張強度とほぼ同等結果が得られた。

アルミ箔との界面抵抗
導電性接着剤とアルミニウムの界面抵抗評価には、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)プロジェクトによって検討された導電性接着剤の標準評価方法 (ISO16525-2) を参考にし、図4に示す様なアルミニウム箔幅 5㎜、間隔1㎝でエッチングした基板を作製し、その上に導電性接着剤スクリーン印刷機を用い、線幅 2.5㎜で印刷を行ったサンプルを用いて、それぞのアルミニウム箔間で抵抗値を測定し評価を行った。 評価結果を図 5に示す。



(上:A社製、下:東洋Al 製)
作製したサンプルを 85 ℃/ 85 %恒温湿環境下で抵抗値を評価した結果、銀粉末を使用した市販導電性接着剤は300時間以上で抵抗値が測定範囲外となるのに対し、 【TCB シリーズ】は500時間後も直線性を維持している。 市販品との差は、恒温湿環境下で銀とアルミニウムの電位差により腐食が生じ、結果として抵抗値が悪化したものと推測している。
今後の展望
一般の銀粉末導電性接着剤と比較して、機械及び電気抵抗等の性能はほぼ同等で、大幅なコストダウン化が見込まれる開発商品である。 高温領域で使用するハンダでは難しかった有機フィルム、紙などの中~低温耐熱性を有する基板への接合及びアルミ材料チップ実装などさまざ基材に対して製品展開が期待できる。
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