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公開日:2023年9月
摩擦発電人数検知マット
はじめに
摩擦発電とは、エナジーハーベスティング(環境発電)の一種である。
環境発電の例としては図1 に示す様に太陽光発電の様な大容量のものから、圧電素子の様な微小電力のものまで幅広く研究されている 1)。 摩擦発電は 発電量としては微小発電に当たるが、スイッチ等の独立電源や補助電源として期待されている。 2012年にZ.L.Wang ら 2)によって提示された摩擦発電による発電機はTENG(triboelectric nanogenerator)とも呼ばれる。
近年では SDGs に代表される持続可能な社会の形成が世界中で唱えられている。 エナジーハーベスティングは身近な振動や熱などを電力に変換するもので、燃料補給や電池交換が必要なく、環境へ寄与できるものである。
また、身の回りに多くのセンサーを用いた機器が増え続けている。 しかし簡易なセンサーであっても電源は必要であり、より小型で簡易な電源の需要は増えるものと推測される。

摩擦発電
摩擦発電の発電機構 は、その名の通り物質と物質が接触、摩擦、剥離する際に発生する物質の帯電や静電誘導による分極を電源とする発電方法である。 図2に模式図を示す3) 。 対となる2つの物質が接触、摩擦すると、接触界面での電荷移動が起こり、各物質の一方が正に帯電し、もう一方が負に帯電する。 この物質間を接続すると 電気的中性を保とうとする為に電荷の移動が発生し電気を取り出すことが可能になる。 また、接触と剥離では電流の向きが逆転する。

ここで対になる物質については帯電列を参考に決定される。 比較的に正に帯電しやすいか負に帯電しやすいかは物質によって決まり、その序列を示したものが図3に示した帯電列と呼ばれる4)。 この帯電列での帯電性の差が大きいほど発電量は増加する傾向にある。

図4に当社で開発した摩擦発電素子の発電時の電圧のオシロスコープの波形の例を示す。 摩擦発電は高電圧、低電流で発電時間が短い。 摩摩擦発電素子が最大の電力を示すのは一瞬であるが、発電量は最大値で62.1mWを示す。 これにより、人の1歩で電波を送信出来る発電量が得られる摩擦発電素子の開発に成功した。 摩擦発電素子の開発に成功した。

人数検知マット
摩擦発電素子を利用し、通行した人数を検知できるマットを開発した。
この検知マットは内部に摩擦発電の電源を有し、その発電のみで信号を発信することがき、受信側でそのマットを通過した人数をカウントすることができる。
このマットの利点は、マット側は摩擦発電による独立電源であるために他に電源が不要かつ電池の交換も不要な事。
受信機を用意しマットを置くだけで簡便に設置可能である事。
カメラを使用した人数検知ではプライバシーの侵害の問題があるが、この検知マットでは撮影を行われず通過した人数のみを検知する事。
赤外線による検知は直射日光や強い光で誤動作する可能性が有り、その点で屋外での使用に難点があるが、この検知マットは屋外でも使用可能な事などの利点が挙げられる。
おわりに
摩擦発電により発電できる素子とそれを応用した人数検知マットを開発した。 この摩擦発電素子は、まだまだ応用範囲は広く、さらに発電量を増やすことでもっと応用先が見込める為、開発を進める。
参考文献
1)鈴木雄二, 環境発電ハンドブック第2版, 株式会社NTS, 2021
2)Feng-Ru Fan, Zhong-Qun Tian, Zhong Lin Wang, Nano Energy, Volume 1, Issue 2, March 2012,
3)谷弘詞,呂仁国,小金沢新治,多川則男,トライボロジスト,第63巻,第1号, 2018
4)松永正広,川口敦史,大野雄高,応用物理,第90巻,第11号,2021
5)川上凌, 谷弘詞, 黒木崇志, 中尾凌,南山偉明, 小金沢新治, 呂仁国, 川田将平, IIP2023 情報・知能・精密機器部門(IIP部門)講演会
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