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公開日:2025年7月

次世代半導体基板

SiGe/Siウェハ

SiGe/Siウェハ

はじめに

シリコンゲルマニウム(SiGe)ベースの半導体デバイスは、その高いキャリア移動度、低消費電力など優れた性能により、次世代の半導体材料として期待されている。 しかしながら、Si とGe は融点が476℃離れており、かつ全率固溶体であるため、Ge 含有量が制御された多結晶を含まない良好なバルク品質のSiGe 単結晶を実現することは非常に困難である。

一般的な単結晶SiGe 層の形成手法は、化学気相成長法(CVD)や分子線エピタキシー法(MBE)などが挙げられるが、これらは高真空プロセスであり、大規模な装置と長時間の処理を必要とする。 液相エピタキシー(LPE)は厚さ20~30μmのSiGe 層を生成し、制御により欠陥を最小限に抑えることができる製造法である。 しかし、従来のLPE プロセスでSiGe バルク結晶または層を得るには、大型の加熱炉と特別な装置が必要であった。 より簡単で迅速な方法として、1000℃未満の比較的低い温度でSi とGe を溶融できるAl 誘起再結晶を利用したLPE 成長に焦点を当てた1)。

本開発品の特徴

当社では、SiGe 単結晶を形成する新たな手法として、Si 基板上へのAl-Ge ペーストのスクリーン印刷と熱処理によるSiGe 液相エピタキシー法を考案した。 図1にSiGe/Si ウェハの作製工程を示す。 本手法は、特殊な装置を必要とせず、Si 基板上にCVD やMBE では形成困難な数十μmの厚いSiGe 層を簡便に形成することができる。 スクリーン印刷と熱処理のみでSiGe 層を形成できるため、大面積化も期待できる。 また、形成されるSiGe 層は使用するAl-Ge ペースト中のAl とGeの比率を変更することにより、SiGe 層の厚みやSi とGe の比率を調整することが可能であることも特徴である2)。

図1  SiGe/Si ウェハの作製工程

1.SEMによる断面観察

本手法で6インチSi(111)基板上に作製したSiGe/Siウェハの断面SEM写真を図2に示す。
Si基板上に30μm程度の厚いSiGe層が形成されていることが確認できる。 図3にSEM-EDXによる元素プロファイルを示す。 SEM-EDXでの測定結果から、Ge濃度が10%前後であることが分かる。

 

断面SEM写真​
図2 断面SEM写真

 

SEM-EDXによる元素プロファイル
図3 SEM-EDXによる元素プロファイル

 

 

2.粗さ測定

図4にCMP後のSiGe/Siウェハ表面におけるレーザー顕微鏡での表面粗さ測定結果を示す。 表面粗さ測定によりSiGe表面のSaが2.86 nmであり、非常に平滑であることが確認できた。

レーザー顕微鏡での表面粗さ測定結果
図4 レーザー顕微鏡での表面粗さ測定結果

3.XRD-RSM測定

XRD-RSM測定により、形成されたSiGe層の結晶化度と歪み状態を測定した結果を図5に示す。 Si基板のピークとSiGeのピークからSiGeが歪み緩和方向にエピタキシャル成長していることが確認できた。

図5 SiGe/SiウェハのXRD-RSM測定結果

今後の開発展望

これまでの開発で、小サイズではSiGe層中のGe濃度が80%以上のものを作製可能なことが確認できている3)。 大面積かつ高Ge濃度のSiGe/Siウェハの開発を進め、多接合太陽電池など次世代半導体デバイスへの適応を目指す3)。

参考文献

1)鈴木紹太, ダムリンマルワン, 生産と技術,第74巻 第3号(2022), 51-54
2)中原正博, 松原萌子, 鈴木紹太, ダムリンマルワン,軽金属学会第136回春期講演概要(2019), 301-302.
3)Shota Suzuki, Moeko Matsubara, Hideaki Minamiyama, Marwan Dhamrin and Yukiharu Uraoka, Effect of annealing ambient on SiGe layer formation using Al-Ge paste for III-V solar cell application, Japanese Journal of Applied Physics, 62 SK1041 (2023).

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