東洋アルミの
イノベーション

Innovation

アルミ箔に“意匠性”を!
付加価値商材で新市場を開拓

〜磨き続けた技術が生んだ
「ヘアーライン」〜​

アルミホイルをはじめとして、機能的な側面がフォーカスされがちな箔製品。しかし、その可能性は必ずしもモノを包むことには限定されない。東洋アルミニウムでは、およそ40年前から箔の表面に髪の毛状の筋を施した「ヘアーライン」を製造。意匠性の高い製品は、現在では主に家電の装飾などに用いられている。他社の追随を許さない独自ノウハウの背景にあるのは、箔そのものに凹凸をつける研磨技術。長年、錬磨されてきた技をひも解く。

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顧客の声が生んだオンリーワンの商材​

ヘアーライン箔の歴史は約40年近くになるが、大きなターニングポイントを迎えたのはいまをさかのぼること15年ほど前のこと。東洋アルミニウムの固有技術に着目した商社が、アプローチをかけてきたのだ。東洋アルミニウムの技術によれば箔にフィルムを貼り合わせることなく、箔自体に模様をつけることができる。それにより深く陰影のあるデザインを実現するのが強みだ。箔事業本部のYさんによれば「冷蔵庫のパネルに高級感を持たせるため、ヘアーラインを活用したい」との相談があったのだという。新たなヘアーライン開発のきっかけは、そんなニーズに見出すことができるというわけだ。「お客様が求めるデザインを箔表面に再現させる」。そんな局面で威力を発揮したのが、東洋アルミニウムが得意とする箔表面の作り込みだった。ミクロン単位の薄い素材そのものに凹凸加工を施すことは決して容易いチャレンジではない。おのずから薄さと意匠性の両立というジレンマを抱えることになる。それでも、時代に必要とされているからにはあとに引く選択肢はなかった。

顧客の声が生んだオンリーワンの商材

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挑戦できる社風が開発の後押しに

新たな箔表面の作り込みには、生産はもちろんデザインの企画段階から手間がかかる。目的を達成するための難易度も高い。「東洋アルミニウムだからこそ、任された仕事だ」。開発担当者の胸のうちには、困難な仕事ゆえのプレッシャーを跳ねのけるだけの挑戦心があった。プロジェクトをやり遂げようとする確かな責任感があった。幸いなことに、歴史のある会社ながら東洋アルミニウムには一人ひとりが自由にチャレンジできる風土がある。もちろん、社員に与えられる裁量も大きい。ヘアーラインの開発を後押ししたのは現在、企業としてのバリューに設定されている「楽しさ創造力」にも通ずる文化。技術者と企業の思いが合致する形で、ものづくりが進められることになった。

挑戦できる社風が開発の後押しに

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社内外の共創で技を研ぎ澄ます

プロジェクトでは、生産技術と現場との連携が欠かせなかった。メーカーから提供されたデザインサンプルを、箔の表面にどう反映させるか、均質性、再現性が確保できるのかといった協議を実施。いずれの課題にも画一的な解は存在しない。東洋アルミニウムにしかなしえないことを実現するために、これまで積み上げてきたノウハウを総動員させた。開発は何度も試作品を製作して、箔表面を確認。良いものができた際には直接メーカーへサンプルを持ち込み、評価を仰いだ。メーカー側の感性とのすり合わせは一筋縄にはいかず「ホームセンターで調達できる工具も活用して試行錯誤を続けたと聞いています」と、Yさんは語る。そうした過程を踏むうちに、開発チーム内では与えられたミッションを形にしようという思いが徐々に強くなっていった。技術者としては満足のいく仕上がりが実現できたとしても、自分たちの判断だけでゴーサインが出せるプロジェクトではない。だからこそ、期待に応えるおもしろさがあった。数えきれないほどの折衝を重ねた末に、製品は完成を見た。

社内外の共創で技を研ぎ澄ます

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否定的な意見も跳ね返した新製品

これまで見てきたような開発を通して 、従来のデザイン含めて採用となったのは4案。
「ラインの長さや彫り込みの深さでバリエーションをつけました」とはYさんだ。開発にあたっては、現場で育まれてきた知恵や感性が大きく貢献した。日頃からアルミニウムを取り扱っている作業者は、その素材特性を誰よりも熟知している。周囲からは「本当に製品化できるのか」との意見も聞かれた。だが、従来の作り込みとは異なる方法を何度も試し、作業工程をしっかりと固めることで否定的な意見を覆していった。時に厳しいメーカーからの意見も、現場を奮い立たせる重要なファクターになった。「もう少しここを改善してほしい」といった要求は、プロジェクトが前進していることの何よりの証明だった。ヘアーラインは上市から15年ほどを経て、想定以上の拡販を見せるに至っている。この結果は、一連の開発が社会に求められるものづくりだったことを誰よりも雄弁に物語っている。

否定的な意見も跳ね返した新製品

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失敗に学び、期待に応え続ける

他に類例のない開発の裏側には、多くの失敗もあった。しかし、その失敗こそが技術者たちにいま一度立ち止まって考えるチャンスを与えた。ヘアーラインが高い再現性を持って量産できるようになったのも、工程改善に向けたあくなき探究心があったからこそだろう。事実、表面に凹凸のあるアルミ箔は、平滑なものに比べてコイル状に巻き取るのにも苦労が伴ったが、作業条件に工夫を凝らすことで、難しい課題を克服している。こうしたチャレンジを可能にしたのは、Yさんの言葉を借りれば「いまを当たり前とは考えない」進取の精神だ。新しいプロダクトを世に送り出すためには、既存の生産体制にばかりしばられていてはならない。たとえ小さなことでも改善を図り、工夫を重ねることが成長のエンジンになったことは疑いようがない。今後、ヘアーラインは建材や自動車産業など異分野への応用も期待されている。新分野への展開には、用途ごとの技術課題の壁もある。一方で、既存市場にとどまらず、新たな可能性を探り続けることは、今後の事業拡大に向けた重要な取り組みである。その過程で、技術者たちは再び壁にぶち当たることになるだろう。しかし、難局を乗り越えた末に得られるやりがいは、確かな財産であると同時に推進力だ。それは何も、ヘアーラインに限った話ではない。あくなき革新という営みの延長線上には、時代に即したまだ見ぬ製品の誕生が待ち受けているに違いない。

失敗に学び、期待に応え続ける

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