東洋アルミの
イノベーション

Innovation

電気・電子製品を内側から変える
優れた蓄電量を持つ新素材

〜電解コンデンサを高機能化する
「粉末積層箔」 〜​

多くの家電や電子機器に用いられる電解コンデンサ。電気を貯め込んで瞬間的に放出する機能を持つ部材は近年、蓄電量の高容量化やモノ自体の小型化が求められるようになった。そんな電解コンデンサに欠かせないのが、陽極箔としてのアルミ箔だ。これまではエッチングによる製品が主流だったが、東洋アルミニウムではアルミ箔にアルミ粉末を焼結させた「粉末積層箔」を開発。従来品の1.6倍もの蓄電量を実現した新素材誕生の物語を追う。

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電解コンデンサの高機能化に向けて​

酸やガスの腐食作用を利用するエッチングではない方法で、電解コンデンサをより高機能化できるアルミ箔を開発できないか――粉末積層箔の開発は、技術者のそんな問いに端を発してスタートした。従来のコンデンサ用陽極箔は、アルミ箔の厚みをより厚くし、エッチング条件を調整することで表面積を増やし、蓄電量を向上させてきたが、アルミ箔の厚みを厚くすればするほど表面積の拡大と強度のバランスを保つのが非常に難しいという課題を抱えていた。コンデンサメーカーにとっても、自社でエッチングの工程をまかなわなければならないという負担がかかっていた。加えて、酸使用に伴う廃液が発生することから、環境面でのデメリットもある。そこで先端技術本部から生まれたのが、アルミ箔にアルミ粉末を焼結・積層させるというアイデアだった。箔と粉末の双方を扱う会社ならではのひらめきは、のちにコンデンサ開発のゲームチェンジャーたる製品として結実することになる。

電解コンデンサの高機能化に向けて​

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三位一体で進められた新素材開発

粉末積層箔の開発は、幾度とない試作の連続だった。開発初期ではアルミ粉末や樹脂等の仕様選定など様々な方法を試し、蓄電量の高い多孔性構造体にすることに成功。最大の懸案として立ちはだかったのは、アルミ粉末を塗布する際の最適条件を探ること。「お客様から要求される厚みで塗布すると今までの条件ではコイルとして巻き取れなかった。巻き取るために極限まで乾燥を抑えるように調整したが、十分に乾かなかったり、逆に乾きすぎてしまったりと、要求される厚みに仕上げるのは至難の業でした」と製品化に一から携わった先端技術本部のSさん。社内での取組み(後の記載)もあるが、エンドユーザー含むお客様からの協力も取りつけて、電解コンデンサの高機能化に資する挑戦は続けられた。粉末積層箔が市場に登場したのは、2012年のこと。プロジェクト開始から5年ほどの歳月が流れていた。

三位一体で進められた新素材開発

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発想の転換がもたらした生産革命

通常、アルミ箔は量産性を確保するためにロール状にして出荷される。この「当たり前」から脱却できたことが、粉末積層箔を実用化するうえでの大きなターニングポイントとなった。一定厚み以上の塗布をロール状で作製しようとすると、どうしても表面に割れやはがれが発生してしまう。そんな中、「当時の上司から『外注先にある枚葉印刷機で作製してみては?』とのアドバイスを受け、製造条件を50センチ四方のシート状に変更しました。これが大きかったです」とSさんの言葉だ。それまで悩みの種になっていた不具合が劇的に改善。さらに塗布できるインキの量も増え、今日の市場ニーズを満たす分厚く、蓄電量の高い層を形成できるようにもなった。ただ、ロール状の製品とは異なり、枚葉品は手作業となる部分が多く、人手やコストが大幅にかかる。「その点を理解し採用いただけるエンドユーザー含むお客様であったことは本当に運が良かった」とSさん。旧来のエッチングによる陽極箔の製造は、およそ半世紀の歴史があった。技術を塗り替えるチャレンジは、まさに歴史そのものを塗り替えてみせたとも言い換えられるのだ。

発想の転換がもたらした生産革命

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従来品の性能を大きく凌ぐ新素材

多くの苦労が実って、世に送り出された粉末積層箔はエンドユーザーの医療機器メーカーからの評判も上々だ。従来品に比べて約1.6倍もの蓄電量を実現。コンデンサの小型化やコンデンサを組み込む機器内部の省スペース化に大きく寄与している。また、数千メートルもの長さを持つロール状の製品と異なって細かい加工も可能なので、コンデンサごとに異なる形状に成形して出荷できるという利点も。ユーザー側の負担が軽減されることは、歓迎を持って受け止められた。塗布、外観検査、梱包と多くの工程で人が介在する製品だが、オーダーの増加に伴って生産体制も少しずつ形になってきた。その結果、さらなる受注増という成果も伴うようになった。加えて再三にわたって繰り返された折衝により、ユーザーやその先のエンドユーザーとの間に信頼関係が築けたことも見逃せない。新しい価値を帯びた製品は、ものづくりを通した人と人とのつながりというかけがえのない価値をも生み出したのだ。

従来品の性能を大きく凌ぐ新素材

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さらなる可能性の開花へ
歩み続け

電解コンデンサと一口にいっても、その用途はさまざまだ。それに従って、粉末積層箔に求められる性能も変わる。目下のところ、東洋アルミニウムでは粉末積層箔の応用範囲拡大に向けて、あくなき研究が続けられている。また、一部の工程では自動化試験も進む。Aさんによれば「当社の生産量全体に比べると、粉末積層箔はその1%にも満たないニッチな製品」だ。それでも人が電気に頼って暮らす限り、社会的に必要とされる製品であることは疑いようがない。Sさんも「粉末積層箔のポテンシャルは、まだまだこんなものではないと信じています」と前向きだ。世の中のニーズを満たし、想像以上のものへと塗り替える。東洋アルミニウムとそこに集う技術者たちは、持てる知恵と技術に磨きをかけていく。

さらなる可能性の開花へ歩み続け

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