東洋アルミの
イノベーション

Innovation

「重くて載せられない」を
終わらせる。

屋根の制約を突破した
太陽光パネル!

~従来の半分の軽さを実現した
「軽量パネル」開発とは~

太陽光発電を導入したい――。しかし、「屋根が耐えられない」という理由で断念するケースは少なくない。特に工場や倉庫などの既存建物では、パネル重量がネックとなり、設置できないという課題があった。東洋アルミニウムが提案した「軽量パネル」は、一般的な太陽光パネルの約半分という軽さでありながら、発電性能と耐久性を維持した製品だ。“軽くすると弱くなる”という常識をどう乗り越えたのか。設置できなかった屋根に、新たな可能性をもたらした開発の裏側に迫る。

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「屋根が持たない」その一言で終わっていた​

工場や倉庫の屋根に太陽光パネルを設置する。一見するとシンプルな話だが、現実には最初の段階で立ち止まってしまうケースが少なくない。最大の要因は屋根の耐荷重制限だ。屋根の耐荷重は一般的に約10kg/㎡前後とされる一方で、従来型の太陽光パネルは約12kg/㎡程度。このわずかな差が、導入の可否を決定づけていた。「計算上は載らない、という結論で終わる案件が本当に多かったです」と、東洋アルミニウムの新事業創造部門のMさんは振り返る。
発電設備を導入することで、光熱費の削減やCO₂排出量の低減といった効果が見込めるにもかかわらず、「設置したくてもできない」状態が各所で生まれていた。技術以前に、“重量という物理的制約”が大きな壁として立ちはだかっていたのだ。
実は東洋アルミニウムは、以前から約30年にわたりソーラー関連事業に携わってきた実績を持つ。太陽光パネルの裏面材など、材料分野で培ってきた知見があったからこそ、「軽量化」という難題に真正面から挑むことができた。

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補強すればいい?そのコストが壁になる

では、屋根そのものを補強すれば解決するのか。理論上は可能だが、現実はそう単純ではない。補強工事には数百万円規模の費用がかかり、工期も延びる。結果として事業採算が悪化し、投資判断が難しくなることも少なくなかった。一方市場には軽量タイプのパネルも存在していたが、「軽いが耐久性に不安がある」という理由から採用を見送られるケースも多かったという。「軽量化だけでは現場は動きません」とMさんは語る。求められていたのは単なる軽さではない。強度・信頼性・コスト、そのすべてを同時に満たす現実的な解決策だった。
開発は決して順調ではなかった。技術メンバーは、試作を重ねながら最適な材料構成を探り続けたという。特に鍵を握ったのが、パネル裏面に使用する“裏面材”だった。
より軽い素材を採用すれば重量は減らせる。しかし、それだけでは強度が不足する。逆に耐久性を重視すればコストが上がり、製品として成立しなくなる。「軽さ」「強度」「コスト」という三つの条件をどう両立させるか。そのバランスを探る作業が最も苦労した点だった。さまざまな材料メーカーからサンプルを取り寄せ、実際にモジュール化し、性能評価を繰り返した。「これは強度が弱い」「もっと軽くしないと意味がない」といった検証を何度も積み重ねたという。単純な軽量化ではなく、“現場で使える軽量化”を追求した。

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軽さか、強さか。避けられないトレードオフ

太陽光パネルの設計において、軽量化と強度は本質的にトレードオフの関係にある。軽くすれば風圧や積雪、衝撃への耐性が低下しやすくなる。一方で、強度を優先すれば重量は増加する。特に大きな課題だったのが、ガラスの存在だ。太陽光パネルはガラス部分の重量が大きく、薄型化すれば軽くなるものの、その分だけ強度低下のリスクが高まる。
そこで東洋アルミニウムが着目したのが、裏面材の技術だった。同社は長年、太陽光パネル向けバックシート(裏面材)の開発・供給を手がけてきた実績を持つ。当時はグローバルで50%以上のシェアを持っていた時期もあり、素材構成や耐久設計に関するノウハウを蓄積していた。「薄いガラスを使っても、裏側の材料を工夫することで強度を保つ。それが大きなコンセプトでした」とMさんは語る。独自構成の高強度裏面材と薄型ガラスを組み合わせることで、“軽いのに強い”という難題をクリアしていった。

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半分の重さで、同等以上の性能へ

こうした試行錯誤の末に生まれたのが、構造設計を徹底的に見直した軽量パネルだった。薄型ガラスの採用、部材バランスの再設計と、複数の工夫を積み重ねることで、重量は従来比約50%となる5.9kg/㎡まで削減。それでいて耐風圧・積雪・耐衝撃性能は確保された。
さらにこだわったのが施工性だった。一般的な太陽光パネルは、周囲のアルミフレームを金具で固定する方法が主流だ。しかし市場にある軽量パネルの中には、貼り付け型など特殊施工を必要とする製品も少なくない。そうした施工方法は、施工業者にとってハードルが高かった。実際、東洋アルミニウムも当初はゴム製フレームを採用し、さらなる軽量化をめざしていた。しかし現場から「施工しにくい」という声が上がったことで方針を転換。あえて重量を少し犠牲にしながらも、一般的な施工方法で設置できるアルミフレーム構造へ変更した。「普段の施工方法と違うと、施工会社さんは嫌がるんです。でも我々の製品は通常のパネルと同じように扱える。そこはかなり意識しました」。
この“現場目線”の設計は、施工業者だけでなく導入企業側にも安心感を与えた。「貼り付け式だと、本当に大丈夫なのか、飛ばないのかと不安を持たれることもある。その点でも一般工法に近づけた意味は大きかった」。

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載せられなかった屋根に、発電の選択肢を

軽量パネルの登場によって、これまで設置が不可能だった建物にも太陽光発電の選択肢が広がった。初期導入はスーパー店舗への設置から始まった。新聞の記事をきっかけに問い合わせが寄せられた案件もあり、少しずつ認知が広がっていったという。
ただし、製品ができればすぐ導入できるわけではなかった。当初は施工ネットワークも十分ではなく、架台メーカーとの連携もゼロから構築していく必要があった。「軽いからいいね、で終わらないんです。設置まで含めて成立しないと意味がない」とMさんは振り返る。実際、架台メーカーと現地に行きながら検証を重ね、「やはりこの方法では設置できない」とやり直すこともあった。複数のメーカーと試行錯誤を繰り返し、ようやく実装までたどり着いたという。
現在では、導入から設置まで比較的短期間で進められる体制も整いつつある。さらに日本国内だけでなく、海外展開も始まっている。タイでは駐車場屋根への設置事例も生まれた。従来では重量面から難しかった場所にも、軽量パネルなら導入できる可能性がある。「我々の強みはやはり“軽さ”です。今後は、さらに提案を広げていきたい」とMさんは力強く語った。

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