東洋アルミの
イノベーション

Innovation

表面を変えれば、可能性が広がる。
アルミの限界を超える
“新たな選択肢”

~新製品や最先端の技術開発を
根底から支える「RANAFOIL」〜

“アルミでは難しい”。ものづくりの現場では、そう判断されてきた領域がある。東洋アルミニウムの「RANAFOIL」は、従来の圧延加工では実現できなかった特殊な表面構造を持つアルミ箔だ。本来なら密着しにくい材料同士をつなぎ、これまで難しかった構造を可能にする。ただ、その特徴は一つの用途だけでは説明できない。RANAFOILは、“既存技術では対応できない課題”に直面したときに力を発揮する材料だからだ。最先端の開発現場で、アルミの可能性を広げるRANAFOIL。その特徴と開発の背景を追った。

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「ただのざらざら」じゃない。アルミが“くっつく素材”に変わる瞬間​

RANAFOILを見てまず気づくのは、表面の質感だ。一般的なアルミ箔とは異なり、独特のざらつきがある。「この“ざらざら”こそが、RANAFOILの特徴です」。そう話すのは、長年この製品の開発と販路開拓に携わってきた加工技術開発チームのSさんだ。
アルミ箔は「圧延」という方法で作られる。大きなロールで金属を薄く伸ばしていく工法で、表面にはロールの状態が反映される。そのため、ある程度の模様や風合いは作れるものの、表現には限界がある。「圧延だけではできない表面構造を、後処理で実現したのがRANAFOILです」。
RANAFOILでは、独自の表面処理によって特殊な凹凸構造を形成している。この構造によって、従来のアルミ箔にはなかった特性が生まれる。一つは、毛細管現象による高い濡れ性だ。液体が自然に広がりやすくなる。もう一つは、硬化後に発揮されるアンカー効果である。凹凸の奥まで材料が入り込むことで、リベットのように抜けにくい状態をつくる。つまり、アルミが“くっつきやすい素材”になるのだ。

ラナホイル断面写真 「ただのざらざら」じゃない。アルミが“くっつく素材”に変わる瞬間

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古くからある製品になぜ、いま力点を置くのか?

興味深いのは、RANAFOILそのものは決して新しい技術ではないという点だ。アイデア自体はかなり以前から存在し、製品化もされていた。しかし長い間、その価値を発揮できる市場や用途が限られていた。「その特長が本当に必要とされる場面が、まだ多くなかったんです」。たとえば食品包装材であれば、「酸化を防ぐ」「保存性を高める」といった分かりやすい価値がある。一方、RANAFOILの強みである特殊な表面構造は、従来のアルミ箔で十分対応できる用途では必ずしも必要とされなかった。
しかし潮目が変わった。近年、電子部品や通信、電池関連などの分野では、材料に求められる性能が高度化。従来材料では対応が難しい課題も増え、表面積の拡大や密着性向上といったRANAFOILの特長が、新たな価値として注目され始めたのだ。
RANAFOILは、ヨーグルトの蓋のように用途が明確に決まった材料ではない。また、現在の圧延アルミ箔で十分満足しているユーザーに向けた製品でもない。既存技術では対応が難しい課題が現れたとき、その真価を発揮する材料なのだ。

古くからある製品になぜ、いま力点を置くのか?

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「アルミが使えない」その瞬間にだけ現れる解決策

最先端の開発現場では、技術が進化するほど新しい課題も生まれる。「高性能材料ほど密着しない」「微細化すると剥がれる」「従来プロセスでは成立しない」といった問題だ。
特に電子部品分野では、絶縁層を挟めないケースも多い。「密着させたいが、何も挟めない」。そんな難しい条件に対して、RANAFOILは“材料そのものの表面構造”で応えようとしている。実際、東洋アルミが開発を進める「ALU-SAP」という技術にも、RANAFOILの表面構造が応用されている。通信分野での新しい可能性として期待されている技術だ。
もちろん、RANAFOILを使えばすべて解決するわけではない。求められる粗さや母材設計、必要性能は顧客ごとに異なる。そのため、この材料は単純なカタログ販売だけでは成り立たない。「改良を前提に、お客様と一緒につくっていく感覚です」とSさんは話す。

「アルミが使えない」その瞬間にだけ現れる解決策

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素材では終わらない──“一緒に設計する材料”という発想

RANAFOILは単なる製品というより、“開発のベースになる材料”に近い。粗さのスケール、厚み、導電性、強度など、用途に応じて母材設計や工法まで調整していく。「案件ごとに、開発パートナーのような関係になります」。
実際、顧客とのやり取りも一般的な材料販売とは少し異なる。完成品を提案するのではなく、「何を実現したいのか」を共有するところから始まる。Sさん自身も、営業として担当した当初は提案の仕方に戸惑ったという。それでも、RANAFOILの可能性には強く惹かれていた。「面白い技術なのに、埋もれたままなのはもったいないと思ったんです」。そこで、資料の作り方や説明方法を一から見直した。すると少しずつ、顧客の反応も変わっていった。「面白いですね」、自身と同じ思いが声として返ってくるようになったという。
もちろん、“面白い”だけで製品化につながるわけではない。その後に追加開発や最適化が必要になるケースも多い。それでも、その反応が次のテーマにつながっていった。

レーザー顕微鏡観察

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必要とされるのは、限界にぶつかったとき

RANAFOILは、大量消費される一般的な材料ではない。「どうしても密着しない」「材料の選択肢がない」「今の方法では限界がある」。そんな場面で、この材料は初めて必要とされる。
一方で、それは“限界を超えるための選択肢”でもある。事実、「アルミに密着しにくい材料を貼り合わせたい」「液体が浸透するスポンジ状のアルミ箔を作りたい」といった相談も寄せられている。
まだ用途が定まっているわけではない。完成形もこれからだ。それでも、「アルミの可能性を広げたい」という思いは一貫している。「何を作りたいのか。そのゴールを一緒に考えたいんです」。RANAFOILの挑戦は、今も続いている。

必要とされるのは、限界にぶつかったとき

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